2019.03.08
ポケットマルシェの幸せな仕組み
ポケットマルシェとの出会い
岩手県花巻市でポケットマルシェや食べる通信を運営されている株式会社ポケットマルシェ代表取締役の高橋博之さん。2019年3月5日にETIC主催で行われた震災復興シンポジウムで知り合いました。高橋さん自身の熱い想いとポケットマルシェの幸せな仕組みが感動的でした。
ポケットマルシェとは
ポケットマルシェは、CtoC。人から人へ。生産者と消費者をつなぐアプリ。全国の生産者と会話しながら食材を買えるオンラインマルシェです。現代社会では、お金には色がついていないから、消費者は誰が作ったのかわからない食品を買わざるを得ない。生産者名を明記された食品もスーパーに並びつつありますが、そうはいっても店に並んだものから選ばざるを得ない。そうでなく、アプリで簡単に生産者と消費者をつなぎ、みんなが選べるようにしたら。ポケットマルシェは、そんな願いを叶えたアプリです。ポケットに入るマルシェ。名前もわかりやすいですね。
お聞きした事例が心に残っています。
ポケットマルシェで生まれた幸せ
都会生まれの男の子のいる家族は、地方で身寄りのない農家のおじいさんの野菜を、いつもポケットマルシェで買っていたそうです。はじめてポケットマルシェを使った時に、男の子は「野菜を作っている人って、本当にいるんだね」といったとか。生産者の顔が見えない都会の状況を象徴する言葉です。いつもリピートしてくれる感謝にと、おじいさんはイチゴの苗を送り、それを男の子がマンションのベランダで育て、生育状況をおじいさんにシェアするなど、交流を深めていきました。すると、男の子は実際におじいさんのところに収穫体験に行きたいと母親にお願いし、おじいさんと男の子は初対面することになります。孫のいないおじいさんに孫を。ふるさとのない男の子にふるさとを。食べ物が幸せを繋いだ瞬間でした。
この活動はまさに、目の見えるやりとりを通して、現代資本主義社会の中で分断されがちな人と人の心をつなぐ試み。まさに幸せを運ぶ活動です。