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2019.07.05

利他的な行為を無理やりやっても人は幸せになれるのか?(河上伸之輔さんの場合)

SDGsジャーナルの河上伸之輔さんとお会いした。

失礼ながら、第一印象は、すごく幸せな人とかすごくいい人というような感じというほどではなかった。しかも、いただいた本が『元本500万円から資産20億円!どんどん買い進める“北陸不動産投資”術』(ごま書房新社、2018年)というギラギラしたタイトルの本。

「出版社が、著者の意見を聞かずにタイトルをつけちゃうんですよー」とおっしゃっていた気持ちはわかる。同様な経験があるから。しかし、この本のタイトルは完全に地位財(長続きしない幸せの源泉となる、他人と比べられる財。金、モノ、地位など)推しではないか。私の押す、非地位財(安全、健康、心の豊かさなど、人との比較によらずに得られる幸せの源泉)とは真逆ではないか。そう思えた。

しかし、「今は地位財には興味がない」「「SDGs×幸せ」のシンポジウムを一緒に開催したい」などなどと熱くおっしゃる話をお聞きしているうちに意気投合してきた。しかも、ロータリークラブのお話がとても面白かった。と思ったら、その時の話をfacebookに掲載しておられた。そこで、ご本人の許可を得て、転載させてもらった。正直ないい人だなあ。こんな自己開示はいろいろな人の参考になるなあ。地位財が好きな人は、一度とことん地位財を得てみると、それによる幸せは長続きしない幸せだとわかるんだなあ、とつくづく思った。学びになりました。ありがとうございます。さらに、2019年11月15日には「SDGs×幸せ」のシンポジウムを慶應義塾大学三田キャンパスで一緒に開催することになりました。楽しみです。よろしくお願いいたします。

さて、河上さんのブログを転載する前に、少し解説を。
非地位財型の幸せの中の、心の豊かさによる幸せの中に、利他性に関する幸せがあります。ウェルビーイングに関する数多くの学術研究により、利他的な人の幸福度は高く、利己的な人の幸福度は低いことが知られています。では、無理やり利他的に振舞っても、幸福度は上がるのか? お金を他人のために使う場合と自分のために使う場合の比較研究により、無理やりにでも利他的に振る舞う(この例では、お金を他人のために使う)と幸福度が高まることが知られています。つまり、無理やり利他的に振舞っても、実は人は幸せになれることが学術的に検証されているのです。以下の例は、「利他的な行為を無理やりやっても人は幸せになれる」ということの、新たな一つの事例といえるでしょう。河上さん、学術の進歩への体を張った貢献、ありがとうございます。

これからもみんなが幸せな世界を共に作っていきましょう!

河上さんのfacebook投稿

2019年6月29日18:10の河上さんのfacebook投稿:

他者に貢献する方が幸せになれるということはわかる人には当たり前すぎることだが、わからない人に伝えるのは難しい

幸福学の第一人者である前野隆司先生とお話をする機会をいただき、いろいろな意見交換を行いました。僕自身は幸せに生きることができているのですが、他の人がどうやったら幸せになれるのかということはわからないというか、幸せになるための考え方や行動は大昔からあらゆる言い伝えや、哲学書、名言、宗教書などにあるのに、なぜそうしないのかがわからない。

幸せになるためには利他の心を持てばいいということは、それを実践している人にとっては当たり前すぎることだが、そんなわけないと思っている人に伝えるのは難しい。
でも、僕も若い頃を振り返ってみると、利己的であったことを思い出しました。僕は20代まではお金持ちになりたいとだけ考えていました。多分、お金持ちになると幸せだと考えていたのだと思います。

そんな僕の考えを変えるきっかけとなったのが、ロータリークラブの若手団体であるローターアクトクラブへの入会でした。僕は当時も証券会社に勤めていて、入会の目的はロータリークラブの社長さん達を顧客化しようという、極めて打算的利己的な動機でした。しっかりやっているアピールをするために、福祉施設でのボランティア活動や、清掃活動などを行なっていました。

僕の所属していた金沢東ローターアクトクラブには15名くらいの仲間がいました。僕のその頃の指標は年収がどれだけということでしたが、同世代の友達より稼いでいるから僕の方が優秀だと考えていたのです。恥ずかしいけど本当にそう思っていました。同世代の仲間の多くは何の打算もなく活動をしていることが不思議でした。損得で生きていた僕にとっては報酬が支払われないボランティア活動は損な活動でした。

でも、障害者福祉施設でお世話をしていた時に、出し物なんかして本当はしょうもないと思ってやっていたのですが、ものすごく喜んでもらえたという経験がありました。反応が正直なので、喜び方が大げさ過ぎるだろうと思っていたけど、実はけっこう嬉しかった。そこから、少しだけ人に喜んでもらえることの喜びというものについて感じられるようになりました。

その後、マズローの書籍を読んで、自分の感情は成長の証なんだということも納得できました。それからはローターアクトの活動はかなり本気でやり、金沢東ローターアクトクラブの会長、石川県・富山県の地区代表という役もつとめることになりました。

この時の体験が30歳で起業をしようとした時の信念にも影響したし、青年会議所で活動していることも繋がっていますし、今すごく幸せに生きることができている礎であるかと思います。

ということで、幸せになりたかったら、嘘でもいいから騙されたと思って見返りを求めないボランディア活動をしてみるとよい。

しんのすけクラブ
https://shinnosuke.club/archives/2794

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